【解説】『連立方程式』速さの文章題

中学数学

速さの文章題が苦手になる本当の理由

連立方程式に入ってから、急に「文章題が分からなくなった」という生徒はとても多いです。特に速さの問題になると、家庭教師をしていても質問が一気に増えます。

先生、はじきの公式を使うんですよね?
でも、どこに何を入れればいいか分からなくなりました。

このやり取り、本当によくあります。そして同時に、少し心配にもなります。なぜなら、「公式を思い出すこと」がスタートになってしまっているからです。公式がなければ問題が解けないという状態は回避してほしいです。


「はじき」は便利だけど、考えなくても解けてしまう

学校の授業や参考書では、速さの問題でよく「はじき」の図が登場します。

  • み(道のり)
  • は(速さ)
  • じ(時間)

確かに、慣れれば答えは出ます。でも家庭教師として感じるのは、はじきで解ける生徒ほど、少し問題が変わると止まってしまうという事実です。
理由ははっきりしています。状況を考えていないからです。


速さの問題は「関係」を考える問題

ここで一度、速さの基本に立ち返ります。速さの問題で扱っているのは、いつもこの関係です。

道のり = 速さ × 時間

これは公式というより、当たり前の事実です。

  • 速く進めば、同じ時間でも遠くへ行く
  • 同じ速さなら、長く進めば遠くへ行く

速さの文章題は、この当たり前の関係を文章で説明しているだけです。


家庭教師として必ず聞く質問

速さの連立方程式に入ると、生徒に必ずこう聞きます。

この問題で変わるものは何?
同じものは何?

最初は戸惑いますが、ここが思考の出発点です。例えば、

  • 道のりが同じ
  • 出発時刻が違う
  • 速さが違う

など、問題文には必ず「条件」があります。連立方程式は、その条件を2つの式に分けて整理する道具です。まずは問題文の条件を探すことを忘れないでください。


文字は「分からないものに名前をつける道具」

速さの問題でつまずく生徒の多くは、文字を置く段階で手が止まります。そして、苦手な生徒はこのような質問をすることがあります。

x を何にすればいいか分かりません

でも、ここも考え方はとてもシンプルです。

  • 分からないもの
  • 比べたいもの

それに名前をつけているだけです。速さなのか、時間なのか。それは問題文が教えてくれています。


連立方程式は状況を2方向から見ている

速さの文章題で連立方程式を使う理由は、同じ出来事を2つの視点から見ているからです。

  • Aさんから見た状況
  • Bさんから見た状況

あるいは、

  • 行きの様子
  • 帰りの様子

それぞれを式にすると、自然と2つの式になります。これは、無理やり連立しているわけではありません。条件を式に表そうとすると、問題が最初から連立になっているのです。


「公式が使えない問題」が本当の力を育てる

家庭教師として強く感じるのは、はじきが使えない問題こそ、本当の練習になるということです。

  • 速さが途中で変わる
  • 同時に出発しない
  • 一部の時間しか進まない

こうした問題では、暗記した形は役に立ちません。でも、「道のり=速さ×時間」という関係を自分で考えて式にできる生徒は、確実に前に進めます。


解けたかどうかより大事なこと

速さの文章題で本当に大切なのは、

  • 正解したか
  • 間違えたか

ではありません。どう考えて式を作ったかここです。家庭教師として、答えが合っていても「考え方を説明できない解答」には必ず立ち止まります。数学は、答えより思考の過程が大事だからです。


最後に:速さの問題は思考のトレーニング

速さの文章題は、決して意地悪な問題ではありません。

  • 状況を整理する
  • 関係を考える
  • 式で表す

この流れを練習するための、とても良い教材です。公式に頼ると、考えるチャンスを失ってしまいます。でも、一度立ち止まって考える習慣がつくと、速さの問題は「怖い問題」から「考えがいのある問題」に変わります。数学は、暗記で進む教科ではありません。

自分の頭で状況を整理し、言葉を式に変える教科です。

そのことを、速さの文章題を通してぜひ感じ取ってほしいと思います。これからも考えることを忘れずに、速さの文章題に取り組んでいきましょう。

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