【解説】『一次関数』のつまずき

中学数学

一次関数が分からなくなる瞬間は、ほとんど決まっている

前回の記事で、一次関数は「計算の単元ではなく、変化を考える単元」だという話をしました。
家庭教師をしていると、この考え方を最初にしっかりつかめた生徒は、多少つまずいても自分で立て直せます。
一方で、途中から急に分からなくなってしまう生徒もいます。でもそれは、急に難しくなったからでも、センスがないからでもありません。

つまずくポイントが、ほぼ同じ場所に集中しているただそれだけです。


xとyが「ただの文字」になった瞬間に崩れる

一次関数で最初につまずくのは、実は式の形ではありません。

xとyって、結局なに?

この感覚があいまいなまま進んでしまうことです。家庭教師として生徒を見ていると、xとyを「計算に使う文字」としか見ていないケースが本当に多いです。でも一次関数では、

  • x は「自分で動かす量」
  • y は「それに応じて変わる量」

というはっきりした役割があります。この役割を意識できないと、グラフも式も、すべてがバラバラになります。


傾きを「位置」で覚えた瞬間、理解が止まる

傾きでつまずく生徒に共通しているのが、この覚え方です。

xの前についている数が傾き

これは間違いではありません。でも、ここで止まってしまうと危険です。家庭教師として必ず確認するのは、次の質問です。

この式xが1増えたら、yはどうなる?

この質問に、数字の意味を使って答えられない場合、傾きはまだ「生きた知識」になっていません。
傾きとは、変化の速さ・変わり方の勢いを表しているものです。


グラフが「作業」になってしまう落とし穴

一次関数でよく見る光景があります。

  • 表を作る
  • 点を2つ取る
  • 定規で線を引く

ここまでは完璧。でもそこで止まってしまう。家庭教師として必ず聞くのが、

このグラフ、何を表してる?

この質問に答えられない場合、グラフを書く意味が抜け落ちています。グラフは、きれいに書くためのものではありません。変化を一目で感じ取るための道具です。


切片が「謎の数字」になる理由

切片で混乱する生徒もとても多いです。

  • どこから出てきたか分からない
  • 傾きと混ざる
  • とりあえず0のときの値と覚えている

家庭教師としては、切片をこう説明しています。

何も動いていないときに、すでにある量

この「すでにある」という感覚がないと、切片はただの暗記になります。


表・式・グラフがつながらない本当の原因

一次関数が苦手な生徒ほど、

  • 表は表
  • 式は式
  • グラフはグラフ

と、別々に処理しています。でも実際には、全部同じことを表しています。

  • 表 → 数字で見た関係
  • 式 → ルールとして表した関係
  • グラフ → 見た目で表した関係

家庭教師をしていると、この3つがつながった瞬間、生徒の目が変わるのが分かります。


家庭教師があえて「止める」理由

一次関数でつまずく生徒ほど、早く答えを出そうとします。でも私は、あえてこう言います。

ちょっと止まろう。今、何がどう変わってる?

この「止まる時間」が、思考を育てます。一次関数は、急いで進む単元ではありません。


一次関数は「数学の考え方」を学ぶ場所

一次関数は、

  • 計算力
  • 作業力

を測る単元ではありません。考え方を持てているかどうかを問う単元です。家庭教師として見ていると、ここで意味を大事にした生徒は、この先の数学で確実に伸びます。


最後に:つまずいたら、それは考え始めた証拠

一次関数でつまずくことは、悪いことではありません。むしろ、

なんとなくでは進めなくなった

というサインです。
数学は暗記ではありません。変化を感じ、関係を考える教科です。
一次関数で立ち止まった時間は、必ずあとで「考える力」になります。
焦らず、一つひとつ意味を考えながら進んでいきましょう。

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